☆コンセプト16|理想(の住まい)注意点

理想の住まいづくりには、まず固定観念を捨て去ることから始めましょう。
今考えている案が最高の理想であり、完成形であると思っているならば、少しお待ちください。私たち建築家の仕事は、その思いをもとに、要望などをヒヤリングしながら、さらにそのイメージを増幅させてゆくことです。イメージが出来たからといってもこれからが大変 です。そのイメージを具体的な形にしていき、そしてようやく理想の住まいが垣間みえて来ます。
ただ機能面や使いやすさを求めることもとても大事なことですが、空間、光、気配、空気感のある器づくりも必要です。一日の大半をその家で過ごすことになるでしょうから、飽きの来ない、魅力的な空間や装置が必要です。
例えば、間取りもある時は大きな可動の壁の動きによって、空間が変化すれば楽しくなると思いませんか。さまざまな土地の条件やロケーションのを加味した上で、創意工夫し、直感やインスピレーションも含めてどんな事が可能かを追求していきます。そのような過程を経る事で、理想的な住まいがいよいよ具体化してきます。
ハウスメーカーの様に流れ作業で家を作って行くのとは、この点で大きく異なります。
家づくりに大切なことは、建主さんとのコミュニケーションを取りながらの共同作業、コラボレーションです。
一般的には一生に一度の終の住処のための家づくりとなるので、その器に相応しいものを作り上げていくには、設計や、工事をするにも手間暇が必要になってきます。一つ一つが手作り感覚です。
またデザインや詳細な図面を書く際にも、また工事が始まってもそれ相応の時間が必要です。
理想の家づくりには、工事の監理も大切です。ただ設計図面を書き、そのまま出来上がりを待つのではありません。
工事の流れにそって施工図のチェックや現場での確認作業が大切です。工務店さんの協力も必要で、そちらの選別も重要な要素となります。
また、フレキシブルな間取り、可変性に対応させることは大切です。将来の家族の変化を先取り予測したプランニング、フレキシブルに可変可能な間取りが必要です。
そうでなければ何か家族のライフスタイルに大きな変化があったその都度、変化に対応するための不要な住まいの改装が必要になり、無駄な費用があとからかさむことになってしまいます。
私たち建築家は先を見据えたプランニングをしますので、少々考える時間も必要になってきますが、そうすることで理想の住まいづくりが現実化してきます。
.(2021/4/15)
『家づくりの考え方』いろいろ
☆ 家づくり・コンセプト
01. 狭小住宅|小ささの中にも多くの可能性を秘めている
02. 注文建築|注文建築の賢いやりかた
03. 景観|魅力ある景観づくりには
04. 外観|『盗む』という手法があった良き時代
05. 間取り|フレキシブルな間取り
06. 構造|いがいと知られてないコンクリートの裏技
07. 工務店|失敗しない工務店選び
08. 設計|完成後も末永くお付き合い
09. 都市計画|魅力なき水の都、大阪 - 都市に風穴を空ける
10. 建築|建築のフレキシビリティの可能性
11. デザイナー(デザイン)|デザインとは、何なのでしょう..
12. 家づくり|50歳から建てる理想の家づくり
13. 癒しの家|癒しの家づくり
14. サグラダファミリア|サグラダファミリアの永遠の思想ーガウディ不在の建築の宿命
15. リノベーション|リノベーション・コンバージョン
16. 理想(の住まい)注意点
17. 空間|「あいだ」を尊重する日本の空間
18. 土地探しについて|上手な土地探しの方法
19. パッシブデザイン|中庭はパッシブデザイン
20. シェアハウスのデザイン|車も家も何でもシェアする時代