☆コンセプト04|外観

ファサードのデザインを決めるのは難しいですが、街並を考える場合に多くの葛藤が働き、なかなか決まらない時があります。隣を模倣して違和感ない街並にしていく『盗む』というような手法が、過去の街並デザインでは良くあることだったそうです。いい意味での「まねをする」ことで隣への配慮をして、自然で違和感なくなじみをよくした街並にしていく手法でした。
たとえば、格子や窓のデザインやそのパターンを踏襲しながら街並の連続感を保つ方法です。異質なものをうけつけないから、コントラストの美しさを求めないそうです。
明治時代までの都市の段階、この時代の決まり事のようなもので、職人の技だけでできていき、そして美しく統一感のある街並が自然にできていきます。日本の木造建築で街並が形成されていた良き時代のことです。何よりも模倣して行ける根拠が両隣にあるのだからいいですよね。
現在の街並ではいろいろな工法や素材が多く氾濫していて、お互いが主張しあっています。『盗む』のような 手法がかんたんに出来ない中でどう作って行けばいいのかよく悩みます。
そんな中で街並みにとけ込むように、またひかえ目に素材や工法などの整理をする事から始めます。
アノニマスデザインのように、また無印のように風景の中に自然のごとく主張せずに埋もれている方がファサードのデザインとして良いと思います。
そしてその外部は内部の現れだと思いますが、外から見て全てが分かりすぎるのも魅力のないことです。何かを 予感させる、その先に期待感や奥行きをを感じさせるものがあれば魅力はますでしょう。
入り口部分や、エントランスの扉で、内部の一部分を暗示させるだけで、外からは内部空間の様子が分からない方が内側に入った時のインプレッションの変化、驚き感がでてきます。これは大切なことでそれがその建築の魅力だと思います。
集落のデザインが美しいのは、それぞれはアノニマスでありながら時間をかけて完成されてきたデザインだからです。それがヴァナキュラーなデザインとなっているからです。ここでいう集落とは、主に地中海地域のことで、話しは飛びますが、魅力のある街並の原点だと思います。
このアノニマスデザイン、バナキュラーデザ インとは、どのようなものか簡単にいいますと、『建築家なしの建築』(B・ルドフスキー著)に出てくる字のごとく名もなき建築たちのことで、アノニマス(無名性)なものが時間がたってくるとバナキュラー(風土的・土着的)となることです。
驚異の工匠たち(B・ルドフスキー著)を、読んでいてわくわくするのは、なぜでしょうか。それは『住みか』は、動物の段階から始まる生存のための基本的な技術であって、本能にもとづいたいとなみだからであって、「建築家」が出てきたのは、ほんのここ数世紀のことにすぎず、「建築とはなにか」を語りかけてくれるからです。
.(2019/12/2)
『家づくりの考え方』いろいろ
☆ 家づくり・コンセプト
01. 狭小住宅|小ささの中にも多くの可能性を秘めている
02. 注文建築|注文建築の賢いやりかた
03. 景観|魅力ある景観づくりには
04. 外観|『盗む』という手法があった良き時代
05. 間取り|フレキシブルな間取り
06. 構造|いがいと知られてないコンクリートの裏技
07. 工務店|失敗しない工務店選び
08. 設計|完成後も末永くお付き合い
09. 都市計画|魅力なき水の都、大阪 - 都市に風穴を空ける
10. 建築|建築のフレキシビリティの可能性
11. デザイナー(デザイン)|デザインとは、何なのでしょう..
12. 家づくり|50歳から建てる理想の家づくり
13. 癒しの家|癒しの家づくり
14. サグラダファミリア|サグラダファミリアの永遠の思想ーガウディ不在の建築の宿命
15. リノベーション|リノベーション・コンバージョン
16. 理想(の住まい)注意点
17. 空間|「あいだ」を尊重する日本の空間
18. 土地探しについて|上手な土地探しの方法
19. パッシブデザイン|中庭はパッシブデザイン
20. シェアハウスのデザイン|車も家も何でもシェアする時代