中庭のある家
空気感、中庭、水盤、光、風、ゆらぎ
イタリア・ヴェネツィアの街を歩くと、集落の中に細く長い石造りの街路が続き、その先に広場がひろがる美しい風景に出会います。その美しさの源を探ると陰と光の対比、狭さと広さの対比、そしてその交錯を楽しむように人々が行き交い、集う時間と空間の交錯が生活の中にあることだと気づきます。
中庭のある家はまさに、その交錯を表現します。
ひとつの住宅の中に、街路としての通路、広場としての中庭をもうけ、時には水盤でゆらぎを添えると、光風、時間、四季を自然に感じることのできる豊かな生活の場がうまれます。
内部と街路(外部の空間)は開閉式の扉や格子戸などでフレキシブルなつながりをもたせ、プライバシーを守り、同時に生活に変化を与える要素として活かしています。
リゾート・週末住宅
非日常の感動を贅沢に楽しむ空間
週末住宅や別荘の非日常感を演出するためには、都市型、郊外型、田園型、景勝地などロケーションを設計の要素として最大限に生かすことを考えます。
周辺環境やその場所の持っている力と建物を調和させることで、オーナーの想像を超える空間づくりが実現します。
ダイナミックなパノラマが広がるロケーションに建てる週末住宅であれば、玄関を入ってから、そのパノラマの風景にど
のように辿り着くルートを描くか、四季の変化をどう切り取るか、朝と夜の楽しみをどう演出するか。
建物と環境、内と外、その2つの要素をつなぐことが魅力的で開放的な居場所づくりの全体像を決めるのです。
新築はもちろん、リフォーム・リノベーションも同じです。
中庭や街路空間、空気感や気配、⾃然素材の風合いなどの要素を組み合わせ、開閉式の大きな扉や建具の新設によっても、その場所の性質が変わり変化や驚きが楽しめる様な住宅に変貌します。
週末住宅や別荘は、“感動”の住まいをつくることなのです。
リノベーション
新しい視点を与えて、新しい価値をつくりだす
リノベーションは、住宅を新たな視点で见つめ直し生活の価値を変えること。
一见、暗くて日中でも照明をつけないといけない住宅でも、⾒方を変えて設計すれば明るく開放的な空間に変わります。
新たな間取りを考える際に、まず中庭を設ける可能性を探ります。中庭は内と外をつなぐ存在であり、住宅の一部を中庭にすることで、⼤きな開口部がうまれ、全開放にすることで内と外を⼀体化した大空間が⽣まれるのです。
また、屋上にも可能性を探ります。放置されがちな空間ですが、使い⽅方を见直すことで想像を超えた心地よさが⽣まれることもあるのです。集合住宅、店舗併⽤住宅の場合も、既存の建物に新たな視点を与えることで、まったく違った価値を持つものに変えられます。
内と外の⼀体化を図ることで、古い住宅ではなく新たな価値を持つ住宅になる、その最大限の可能性を引き出します。
狭小住宅
小さくても贅沢な空間
30 坪未満の土地に住まいを設計する際に、もっとも大切にしていることこそが「小さくても贅沢な空間」。
日本では、家を⼟土地に建てる時の条件として、建ぺい率などで必ず空地が必要になります。
単純にセットバック(道路側の敷地に空間をつくること)させることでその規制をクリアすることはできますが、それでは感動は生まれません。
実は、この建ぺい率の規制を逆説的に設計に活かすと空間が生まれるのです。
その空間は、中庭になり、坪庭になり、光と風の通り道になるのです。
特に都⼼心部の狭⼩小地では、敷地に対していっぱいに住まいのボリュームを確保し、壁で囲われた内部に緩衝帯のように空間を活かし中庭をもうけると、外観からは想像できないようなゆとりがうまれ、贅沢な空間に仕上がるのです。
変えることのできない環境、限られた広さの中に、光、風、雨などの自然を取り込むことは設計の究極の課題ですが、その制約こそが素晴らしいヒントになることをわたしたちは知っています。
店舗・商業施設
その中心となっている中庭が、空間を活かします。
住みながらの店舗併用住宅も、その中心となっているのが中庭です。
室内と屋外に設けたデッキとは、大きな開口部を全開放する事で内部と外部は一体化します。
また屋上にも可能性を感じます。 一見放置されがちな場所も見直せば、結構いい場所だったりします。
屋上に中庭のある家では、屋上にも可能性を感じ、オーナーさんの家を建てました。
集合住宅の部分をコンクリート造で、鉄骨造で作られた中庭のある家が載る型式の混構造です。
賃貸住宅と、オーナーの家が共存することは、 市街地における古いアパートの建て替えモデルの一つで、中庭などの外部スペースを取り込みます。
コートハウス、テラスハウス、この屋上の可能性や店舗併用住宅にも、 中庭のある家づくりは重要な位置づけとなってきます。
プロジェクト
内と外をつなぐ試みで、やさしく楽しい空間に。
住宅や公共施設のプロジェクトに日々、数多くの提案を行っています。
プロジェクトの提案は要件を満たしながら、中庭を設けて内と外をつなぐ試みを含むものが多く、どのようにスペースを生かすかということに重きを置いています。
例えば小学校の計画では、子供たちが日中の大半を過ごす場所と考えれば、 くつろげるリビングのような中庭の様が必要になってきます。また、オフイスや工場においても考え方は同じで、人々が日常的に過ごす場所と考えれば、ただ詰め込まれただけの機能的なスペースだけではなく小さくてもほっとして抜ける様な開放される場所が必要です。
快適なスペースづくりをつくるという⽬的は、住宅と何ら変わりありません。
より多くの人が集う場所だからこそ、より多くの人にとって時間と空間を楽しめる場所である必要があるのです。
プロダクトの設計・製作も時折おこなっています。松の杢目を⽣かした単板や杉板をスライスしたあかりのオブジェは、ぬくもりを楽しむ照明です。
ビフォー・アフター
中庭と坪庭・風と光が通り抜ける家|“風と光の造形師”
大改造!! 劇的ビフォーアフター(帰れない家)放送の見どころ
2003/08/17 19:58 放送
築82年、狭さと老朽化など様々な問題を抱えた“帰れない家”を“風と光の造形師”こと、リフォームの匠・水谷嘉信が劇的に大改造!!。6つの釜が大変身!大胆なアイディアが的中しスタジオ騒然!! 築82年の通称“帰れない家”を“風と光の造形
師”ことリフォームの匠、水谷嘉信が劇的に大改造する。
依頼は大阪市住吉区のH家から、H家は築82年の木造平屋建て、四軒長屋のうちの二軒を占める. 依頼人は妻のYさん(47)。ご主人(49)の生家であるこの家は、13年前にご主人のお母さんが亡くなって以来ずっと空家になっていた。病弱
な夫と3人の息子を抱え、一人でこの家を切り盛りしてきたお母さん。
今年はそのお母さんの13回忌で、ご主人は思い出深いこの家にぜひ帰りたいと考えている。
だが、大正時代に建てられたこの家は、老朽化が激しい上に荷物が無造作に置かれ、家中が物置同然の姿に。トイレにまで物が詰め込まれるなど、とても夫婦が生活できる環境ではなかった。
亡き母との思い出が残る生家に夫婦二人で帰り、暮らしたい…。そんな切なる願いを受けて、リフォームの匠、水谷嘉信が立ち上がった。風通しのよい、潤いの空間作りを得意とする、別名“風と光の造形師”だ。
早速、匠は現場検証にとりかかるが、出てきたお釜を見た時、依頼者の夫が母を思い出して早くも涙ぐみ、この家への思い入れの深を伺わせた。そんな思いを受けとめた匠は「2軒の長屋の間取りでは、足りないものがあると思うんですけど、何か風穴を開けるような、新しい長屋に再生できたらいいなと思っています」と意欲をみなぎらせる。
しかし、なんと床下から防空壕が発見されるなど、築82年の長屋ならではの大難題が次々と匠に襲いかかる。スタジオでも、匠の大改造の行方を徹底推理する。父はリフォームが趣味だったというゲストの今井雅之らが、ユニークなアイディアを連発。「匠は思い出の羽釜を6個使って、何をしようとしているのか」では、ある人物の大胆な推理がずばり的中し、所ジョージを驚かせる。